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  • Tue Jan 20 07:03:00 UTC 2015
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ミスミグループ本社は過去最高益を更新中-製造と流通を掛け合わせた事業モデルが収益をけん引

株式会社ミスミグループ本社 男澤一郎 常務取締役CFO × Longine IR

株式会社ミスミグループ本社(証券コード9962。以下、ミスミ) 男澤一郎 常務取締役CFOに好業績の背景にある事業モデルの革新性と今後の方向性についてお話を伺いました。

Longine IRから投資家に伝えたい3つのポイント

  • ミスミは、2015年3月期会社予想が達成されると、2002年3月期比で売上高は3.9倍、営業利益は4.7倍に拡大見込みで、4期連続で売上高及び営業利益について過去最高額を更新する見通し。
  • 当社の強みの源泉は、約40年前にスタートした「従来特注品であった金型部品を標準化しカタログに掲載することで、一個から注文を受け短納期で販売する」という事業モデルの磨き込み。
  • 海外においても需要を取り込み、海外売上高は2015年3月期会社予想が達成されると2002年3月期比で約20倍に拡大見込み。

2002年3月期比で売上高及び営業利益はそれぞれ3倍、4倍以上に拡大し、2015年3月期は過去最高益を見込む

Longine IR:2015年3月期の会社予想が達成されると、4期連続で売上高及び営業利益の過去最高額が更新されそうですね。業績好調の背景を教えてください。

ミスミグループ本社 男澤一郎 常務取締役CFO(以下、男澤):国内は、消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要の影響もあまりなく、堅調な設備投資に支えられて好調に推移しました。海外は、当社の事業モデルの浸透による増収の確保により業績の拡大が続いています。当社の事業のモデルに成長と利益の源泉があると考えています。

高成長の源泉は40年以上の歴史を持つ「ミスミ事業モデル」の磨き込み

Longine IR:ミスミは、メーカー機能を持ったFA(ファクトリーオートメーション)・金型部品商社というイメージがありますが、事業モデルの特徴について教えてください。

男澤:当社は1963年に創業し、多品種小ロットの商材を紙カタログで販売するモデルを確立しました。当時は、金型メーカーの設計者にとって、金型部品を注文するのはとても手間とコストのかかる仕事でした。一品ずつ設計図を作成し、それを地場の加工業者に発注し交渉するという煩雑な作業をしていました。これを、お客様の一品一様のニーズに寸法を合わせ、短納期で確実に納入するという「仕組み」に変えました。モノの流れ、モノを供給する「仕組み」そのものを変革してきたということが成長や利益の源泉だと考えています。

ミスミの隠れた強みは半製品を活用し「多品種少量生産」を可能にしたことにある

Longine IR: その後、当初の事業モデルはどのように発展していったのでしょうか。

男澤:今のような成長をもたらす、あるいは利益を生み出すモデルになるためには、いくつかの転換点がありました。その一つが、「製造革新」です。当社が提供する部品には膨大な種類、仕様があり、生産は多品種少量となります。当社の売上の半数以上は、お客様から寸法指定が入る商品が占めるため、サイズごとに区別すると、取り扱う商品のバリエーションは800垓(がい)にも上ります。これは「一兆の800億倍」という数で、星の数の表現に使われるほどの膨大な数です。これだけのバリエーションの商品を確実に短納期にお届けするためには、一般的には大量の在庫が必要となります。

Longine IR:どのようにして膨大な種類の製品を短納期で納めているのでしょうか。

男澤:豊富な製品バリエーションとともに在庫を最小限に抑えながら短納期に納めるためのカギは、「半製品」にあります。当社では、製作過程の部品を「半製品」として在庫しておき、お客様の注文に応じて最終製品に仕上げています。「半製品」を大量生産することで量産効果を出し、最終仕上げを行う工場に送ります。この仕組みを磨き込み、低コストかつ短納期で、膨大な品種を小ロットでお客様にお届けし、かつ最終製品の在庫は最少にするという矛盾した課題を克服してきたことが高成長の一因です。

株式会社ミスミグループ本社 男澤一郎 常務取締役 CFO

「VONA事業(流通事業)」が新たな成長ドライバーに

Longine IR:他社ブランド品を含む「VONA事業(流通事業)」も好調ですね。

男澤:先ほど述べた「製造革新」に次いで、「流通革新」に取り組んだことが当社事業モデルの第二の転換点です。当社の売上はミスミオリジナルブランド品の「メーカー事業」(FA事業及び金型部品事業)とミスミ+他社ブランド品の「流通事業」(VONA事業)に分けられます。現在は、VONA事業が急速に拡大中です。2015年3月期のVONA事業の売上高は前年比22%増と、FA事業の同16%増、金型部品事業の同9%増を上回る成長を見込んでいます。

Longine IR:「VONA」とはどのような事業なのでしょうか。

男澤:「VONA」とは、「Variation & One-stop by New Alliance」の頭文字を取りました。他社との提携により、多様な製品を従来の販路を活用し、ワンストップで提供するという意味です。製造側である「バックエンド」では、少量多品種生産を磨き上げてきました。また、「フロントエンド」、つまり、お客様からのオーダーを即座に製造し配送に結びつけるための強力な基幹システムやウェブを使った受発注システムを作り上げてきました。このように従来の生産設備関連部品に加え、メーカー事業で取り扱っていた製造副資材・MRO(消耗品、補修部品)などの他社製品の商材も含めてお客様にワンストップショッピングで提供できる仕組み作りに取り組んできました。

VONA事業は品揃えの拡充が成功の鍵

Longine IR:VONA事業で注力している点について教えてください。

男澤:品揃えを増やすことが最大の鍵になります。品数が増えてくれば、お客様は「なるほど、これは便利だ!」という評価をしてくれます。また、お客様が増えてくると、参画企業様にもミスミの販売チャネルを魅力的だと感じてもらえます。VONA事業では、2013年から調達先拡充の活動を本格化しましたが、参画企業数は2013年4月時点の約300社から2014年9月には1,800社超に急拡大しています。

Longine IR:特に、どのような点に苦労されるのでしょうか。

男澤:品揃えだけではなく、安定的に高いクオリティで、なおかつコストパフォーマンスの高い調達先を探してくる必要があります。品質や納期も守って頂かなくてはなりません。こうした要求水準に見合う調達先の開拓には大変苦労しました。

VONA事業の目的は多段階流通の効率化にあり

Longine IR: VONA事業の目的ともいえるかと思いますが、顧客はVONA事業をどのように見ているのでしょうか。現状から教えていただけますか。

男澤:生産間接資材については、長年にわたって培われてきたメーカーからお客様に至るまでの多段階流通経路があります。オーダーも、いまだにファックスや電話で注文のやりとりをしている例が多くあるようです。それでは時間も手間もかかっていますし、多くのコストが末端価格に上乗せされています。

Longine IR:VONA事業はそうした事業環境の中でどのような工夫があるのでしょうか。

男澤:当社は、メーカー事業で磨き込んだ、短納期でお届けできる物流システムや受発注システムを活用しています。今まで無駄なコストがかかっていた流通を合理化することは「流通モデル革新」だと思っており、当社は既にメーカー事業を通してそのインフラを作り上げているため、効率的な流通を実現できます。

競争激化を懸念するのは時期尚早

Longine IR:生産間接資材をウェブやカタログで提供するビジネスモデルは、他社も行っています。今後の競争激化懸念はないでしょうか?

男澤:日本の生産関連資材市場は、製造業の裾野の広さから考え、少なく見積もっても5兆円程度はあると考えられます。これに対して、ミスミのVONA事業に競合他社の事業規模を合算いたしましても、市場全体の数%に過ぎません。競争激化を懸念するのはまだ早いと考えています。多段階流通がこれから効率化されてくるプロセスにあることを考えると、まずは当社のプラットフォームをお客様に選んでいただけるように改善していくことが先だと考えています。

2015年3月期の海外売上高は2002年3月期比で約20倍に拡大する見込み

Longine IR:2015年3月期会社予想での海外売上高は2002年3月期比で約20倍になります。どのような取り組みをされたのでしょうか?

男澤:海外でも、FA部品や金型部品を発注する際の手間とコストがかかるという技術者の悩みは共通しています。ただし、ものづくり側である「バックエンド」の品質、コスト、納期を日本と同水準にすることは、2000年代前半の「純粋な商社」であったミスミには限界がありました。そこで2005年に駿河精機(現・駿河生産プラットフォーム)を買収して「純粋な商社」に終止符をうち、「メーカー機能を持った商社」となることで、生産までの一気通貫体制を構築しました。これによって生産の現地化を含む国際事業展開を加速する体制を整えることができました。さらに、これらの取り組みの一環として、2012年には米国の金型部品メーカー(Dayton Lamina社)の買収を実施した他、中国において2014年3月にはFA加工品における最大規模の生産拠点となるスルガセイキ(南通)有限公司の工場を本格稼動させました。

Longine IR:各地域での成長見通しを教えてください。

男澤:特に注目しているのは、やはり中国です。人件費が上昇し、為替も元が高くなって輸出競争力がなくなってくると、次に来るのはFA(ファクトリーオートメーション)すなわち自動化に向けた投資です。そこに大きな商機があると見ています。アメリカは自動車産業が大きいですし、製造業回帰が進んでいます。また、3Dプリンターに代表されるようにニューテクノロジーが生まれる地域ですので大きなビジネスチャンスがあると思っています。欧州も、ドイツが中心となりますが、自動車関連のビジネスを中心に期待が持てます。

株主還元について

Longine IR:先行投資を積極的に行いながらも比較的高い採算性を維持されています。最後に株主還元や配当についての考え方を教えて下さい。

男澤:株主還元と成長への投資のバランスが重要だと考えています。当社が、お客様にとって唯一無二のプラットフォームとして選ばれるためには、今後も製造設備への増産投資や情報化投資が必要です。そうした投資をしながら配当性向は25%としており、株主還元と成長のバランスをとっていきたいと思います。

Longine IR:本日はお忙しいところありがとうございました。

男澤:こちらこそありがとうございました。

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