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ダイセル(4202)は中堅企業だが数多い世界で大きな市場シェア商品を持つユニークな成長企業(2015年11月10日推奨終了)

投資家に伝えたい3つのポイント

  • 化学などの素材セクターでは大手化学企業のような景気敏感を避け、同社のようなファイン・スペシャリティーケミカル企業に投資を集中すべきと考える。
  • 中堅企業ながら1円/ドル円安で営業利益に5~6億円の感応度を有する。原料メタノール市況も安定し、コア事業の世界的なポジションとも相まり、増収増益基調続く。
  • 自己資本利益率(ROE)10%超が見えてきた。2倍程度の株価純資産倍率(PBR)が同社の適正株価を示唆すると考える。

目標株価は1,740円

  • ダイセル(4202)を向こう1年で目標株価1,740円として注目を開始する。4月17日の終値1,428円から約+22%の上昇余地がある。
  • 筆者による業績予想をベースにすると、同社の自己資本利益率(ROE)は2014~2016年度にわたって経営目標の10%以上を十分達成できると予想する。東証平均の株価収益率(PER)18倍とROE 11%から計算されるPBRは約2倍が妥当と考える。2014年度と2015年度平均の一株当たり純資産の2倍である1,740円に合理性があると筆者は考えている。
  • 同社は広い意味で素材産業に分類されるため、世界の景気動向は業績を見るうえで重要なファクター。世界的な景気後退が更に深まるようであれば、株価は市場平均並みのPBR1.5倍に相当する1,300円程度まで下落するリスクはあるかもしれないが、それを下回れば積極的に買える水準とも考えている。

何故ダイセルに注目するのか。世界に存在感を見せるスペシャリティーケミカル群

大手化学企業が石油精製物であるナフサ(粗製ガソリン)を原料に大規模なコンビナート形成による事業展開を行っているのとは対照的に、同社は天然ガスから主に生産されるメタノールを原料として購入している。また、世界的に存在感のある製品を世に送り出している極めてユニークな企業である。汎用化学品企業というよりファイン・スペシャリティー企業にふさわしい。

図表1はダイセルとその他大手化学企業、TOPIXの株価パフォーマンスをアベノミクス開始直後から振り返ったものである。ダイセルの株価は総合化学メーカーを押しのけてダントツのパフォーマンスを示している。同社はTOPIXのパフォーマンスも大きく上回って推移しているが、今後も同社に対する評価は変わりにくいと考えている。その最大の理由は同社の事業ポートフォリオにある。

出所:SPEEDAをもとに筆者作成


主要4セグメントの存在感。世界トップ級の製品群に恵まれる

セルロースセグメント:同社は繊維質のセルロースと酢酸からタバコフィルターの原料となるアセテート・トウを生産する世界第4位(世界シェア10%)の大手企業。一方、同じ酢酸セルロースが液晶偏光膜を保護するTACフィルムの原料となり、これも寡占的供給者である。

有機合成セグメント:同社の基幹工場である網干工場(兵庫県)ではメタノールから酢酸を生産、これを元に電子材料、環境にやさしい有機溶剤などファインケミカルに注力するセグメントである。ただし、主要4セグメントで市況変動に影響されやすい分野。

合成樹脂セグメント:連結子会社のポリプラスチックス(55%出資)が同セグメントの大黒柱。ポ社は米国セラニーズ社との合弁企業だが、自動車、エレクトロニクス分野で市場を拡大しているエンジニアリング樹脂であるポリアセタール樹脂の世界最大のサプライヤー。営業利益率10%以上を続ける優良子会社を傘下に有する点が注目材料。

火工品セグメント:年率+7%の勢いで世界的な成長を続ける自動車用エアバッグ。このエアバッグに衝突時にガスを瞬時に送るデバイスがインフレータであり、同社は世界トップのスウェーデンのオートリーブ社に次ぐ世界第2位のサプライヤーである。主力ユーザーはトヨタ、ホンダ、海外の自動車メーカーなどだが、インフレータで競合する企業の不具合問題により、ホンダから供給要請があり、播磨工場での増産、米国での第2工場建設を進行中と見ている。

以下、主要セグメントの営業利益に占める構成比(2015年3月期筆者予想ベース)を示した。

足元の業績は為替、メタノール市況のフォローウインドで会社予想を上回るか

同社の2015年3月期の決算発表は5月12日(火曜)に発表される予定。筆者は会社予想の営業利益510億円を上回る524億円(前期比+38%)を予想している。Q42015年1~3月の為替前提を115円/ドル、メタノール市況390ドル/トンとすると、いずれも業績にプラスの方向が実勢となっていると見ている。特に同社の為替感応度は1円/ドル安で営業利益に約6億円弱のプラス効果をもたらす。メタノールも年間数十万トンの購買でインパクトは大きそうだ。

2016年3月期以降も2桁近い利益成長続く見通し

5月12日に予定されている決算発表では2016年3月期会社予想も併せて発表される見通しだが、慎重な予想が公表される可能性が高い。仮に為替前提が115円/ドルとすれば、実勢に対して25億円強ののりしろがあることになる。また、原料市況が弱含みで推移するほか、インフレータ、フィルター向けアセテート・トウの増産、連結子会社ポリプラスチックスの稼働率改善等により中期的に増収増益基調が続く見通しである。

新中期計画『3D-Ⅱ』の利益計画が前倒し進行、株主還元に前向き

同社が2014年2月28日に公表した新中期計画『3D-Ⅱ』は2014~2016年度を見据えた3ケ年計画。前回の『3D-Ⅰ』(2011~2013年度)が円高、メタノール市況安で利益未達成となったが、今回の計画は早くも前倒し達成の可能性が強まった。計画では2017年3月期の営業利益目標として500億円としたが、初年度にあたる2015年3月期で既に500億円を達成したと筆者は予想する。筆者は主力製品の好調と想定を上回る円安とメタノール市況安が貢献したと予測している。

株主還元性向30%目標、個人投資家重視姿勢を強める

同社は2015年1月以降、単元株を100株に変更したのを契機に、個人株主造りを積極化させていると筆者はみている。株主還元性向30%を標ぼう、前期配当も当初予定の年間16.0円を同20.0円に増額している。筆者はは配当性向30%から2016年3月期同28.0円、2017年3月期同32.0円を予想している。同社は短期有価証券と合わせて600億円前後の現預金を有しており、自己株取得への積極姿勢も期待される。

業積ハイライト

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