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ダイセル(4202)目標株価の達成に伴い「大型株1年」の注目終了(2015年11月10日推奨終了)

投資スタンス

筆者の目標株価1,700円(11月10日終値1,826円)を大きくクリアしたことから、「大型株1年」の注目を終了する。

投資家に伝えたい3つのポイント

  • 2015年11月6日に発表された同社の2016年3月期上期決算は従来予想比上振れで着地、通期予想も大幅に上方修正された。
  • ホンダ、日産、富士重工など自動車メーカー各社が、相次いでタカタ製インフレータを用いたエアバッグ調達の停止を表明、ダイセルへの恩恵が改めて評価され始めた。
  • 今期の業績見通しも好調、260万株の自社株買いを含めた株主還元性向は34%と好材料が目白押しだ。しかし、業績見通しが為替と原料価格次第の様相を強めており、一旦注目を終了するタイミングと判断する。

上期実績は円安と原料価格安を主因に従来予想比で上振れの着地

2015年11月6日に発表された2016年3月期上期実績は予想通りの上振れで着地した。売上高は従来会社予想比で若干未達となったが、営業利益は同+19%、親会社株主に帰属する四半期純利益は同+22%、それぞれ上振れて着地した。円安効果とメタノールを始めとした原材料価格の大幅な低下が、大きな理由である。特にセルロース事業は、輸出が大半を占めるタバコフィルター用アセテートトウが円安効果で利益拡大を大きく牽引した。

上方修正された通期予想はほぼコンセンサス想定内

今回、上方修正された2016年3月通期の営業利益予想610億円は、筆者予想の618億円、及び、決算発表前の市場コンセンサス値と比較してもサプライズはないと考える。また、事業部門でもやや頭打ち感が出始めている。セルロースは世界の40%の市場を占める中国で節約志向が強まってきており、合成樹脂事業は中核のポリプラスチック社(子会社)の主要製品がフル生産に至っていない。また、エアバッグ用のインフレータ(ガス発生装置)は、米国では健闘しているものの、中国、韓国、日本などで販売量が頭打ちになっている。

唯一、業績ののりしろは為替と原料価格である。下期の会社前提は120円/ドルであり、やや保守的だ。同社の場合、1円/ドル安で年間5億円程度の営業利益に対するプラス効果が見込まれるものの、現状の為替水準が続くとしても、小幅な上方修正に留まる可能性が高い。つまり、物量ベースの伸びは既に頭打ちの状態で、業績面では為替要因だけが上方修正をもたらす可能性がある、というのが現状である。

タカタのリコール問題再燃で同社株が急騰

11月4日にホンダ、日産自などが相次いでタカタ製インフレータを用いたエアバッグの調達を停止することを表明したタイミングで、同社の株価が急騰している。筆者は同社株を今年4月20日に「大型株1年」として注目を開始したが、注目開始時の株価1,428円に対して、11月9日終値は1,864円と年初来高値を更新。注目開始来高値のパフォーマンスは+30.5%となった。

インフレータの代替需要は決して小さくないが、増産投資も嵩む見込み

同社のインフレータは世界的にオートリブ、ダイセル、ZFの三強の一角を占める。タカタの内製インフレータの世界シェアから推定すると、ダイセルが日系自動車メーカーから受ける代替需要は決して小さくないと見られる。自動車メーカー各社が、次期開発車から徐々にダイセルへシフトするとなれば、中期的には大きなプラス要因であることは確かだと考える。

一方、この代替需要への増産対応として、国内の播磨工場の増設(9月操業開始)、米国子会社DSSAの新工場(現在建設中で、2016年春頃をメドに操業開始予定)が考えられる。だが、設備投資額が増加することで、減価償却費の負担増加、工場の従業員確保や作業教育の期間という問題もあり、当面、シナリオ通りに利益を上げることは簡単ではない。

同社も認めている通り、過去3ヶ年度はそれまでの大型投資の減価償却が徐々に減少するトレンドであったが、これからの3ヶ年度は再び先行投資の時期に入り、減価償却費の増加トレンドに入る。収益拡大のピークが一旦は終わりつつあると判断したい。

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