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アンリツ(6754)の「小型株1年」での注目を終了。次のエントリータイミングを探る(2015年12月11日推奨終了)

投資スタンス

「小型株1年」での注目終了。

投資家に伝えたい3つのポイント

  • 中長期的にモバイルシステムの高度化(4Gから5Gへ)、IoT、自動運転などの新市場の拡大の恩恵を受けられるポジションにあるという見方に変化はないが、Q2(7-9月期)の受注が対前年同期比▲5%減、主力の計測機に限れば同▲10%減となっており、2016年3月期会社計画に下振れリスクが残り、2017年3月期も中期成長に向けた投資が優先され目覚ましい業績拡大が見込みにくいため、ここで一旦、「小型株1年」での注目を終了する。
  • 中長期の成長ポテンシャルが解消されたとは考えていないため、市場要因で株価が800~900円のボックスレンジから大きく下振れた場合には再注目を検討したい。
  • 現時点での発生確率は低いが、通信キャリアに対する政府の「儲け過ぎ批判」に対して、通信キャリアが研究開発投資を前倒し執行するようなニュースフローが顕在化してきた場合にも再注目を検討したい。

株価指標から見て当面は800~900円のボックスレンジでの株価推移を予想

過去1年間の株価は、一時期を除き800~900円のボックスレンジで推移してきた。2016年3月期会社予想を前提にしたPERは14倍と株価指標面で大きな過熱感はないため、業績予想にはダウンサイドリスクは残るものの、当面は上記のレンジの下限を大幅に下回るとは考えにくい。一方、2017年3月期も中期成長に向けての費用先行が予想され、目覚ましい業績拡大も見込みにくいため、上限が大きく切り上がるとも考えにくい。

迫力不足だったQ2(7-9月期)決算

2015年10月29日に発表されたQ2決算は、売上高が対前年同期比▲2%減、営業利益が同▲47%減、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同▲55%減であった。Q1(4-6月期)は増収・増益でのスタートであったが、Q2はチップや端末ベンダーの事業再編影響によるモバイル製造用の低迷、北米でのLTE投資の一巡によるネットワークインフラ用測定器の不振等により、減収・減益の決算となった。なお、北米と欧州において組織体制の最適化に向けたリストラ費用4億円が計上されたことも大幅減益の一因となっている。

2016年3月期会社予想はややチャレンジングな印象

同社の受注は、Q1の同+1%増からQ2は同▲5%減のマイナスに転じている。また、主力の計測事業に限れば、Q1の同▲3%減からQ2は同▲10%減とさらに芳しくない結果となっている。

決算説明会で会社側はQ2の受注が思わしくなかったと認める一方で、案件そのものがなくなったわけではなく下期にずれ込んだと認識しているとコメントし、通期会社予想を据え置いている。また、LTE-Advanced対応の新製品の受注活動を強化することで巻き返しを目指す考えを表明している。

しかしながら、上期決算の発表以降、国内外のキャリアやチップ、端末ベンダーから研究開発及び設備投資の積み増しを示唆するニュースフローは見られないため、据え置かれた通期の会社予想から差し引きされた下期の会社予想は、ややチャレンジングな印象だ。

競争ポジションが大きく変化したわけではない

モバイル計測市場の主要プレイヤーは、同社、キーサイト(NYSE上場)、ローデ・アンド・シュワルツ(非上場)の3社による寡占体制が続いており、新たな強力な新規参入企業は見られない。また、同社が競合2社にから大きくシェアを奪われていることを示すようなエビデンスも見当たらない。このため、最近の業績の伸び悩みは、通信キャリアや端末ベンダーなどの投資が、次の5GやIoTに向けての端境期にあることが主因であると考えられる。

なお、5Gに向けての研究開発は、2015年はコアテクノロジーに関した基礎研究が中心と見られるが、2016年から徐々に標準化活動が活発化し、2016年後半頃からは商用化に向けた研究開発が本格化してくる可能性が高い。

ワイルドカードは通信キャリアの研究開発費の前倒し執行

同社の計測機の顧客のうち、半導体デバイスメーカーの合従連衡は2016年も続く可能性が高く、これが落ち着くまでは大幅な回復は期待しにくい。一方、端末メーカーについては、重要顧客の1社であるサムスン電子にかつてほどの勢いは見られず、また、中国企業も入れ替わりが激しく、安定顧客とはなりがたい。さらに、国内端末メーカーも、事業再編は一巡してきたものの、唯一のグローバルプレイヤーであるソニーも、地域を絞り込んで生き残りを目指す考えであるため、積極的な投資を行うとは考えにくい。

こうした中で、キャッシュが潤沢で投資余力が大きいのが国内通信キャリアであり、最近では政府からも儲け過ぎ批判を受けているほどである。こうした批判に対して、通信キャリアが今後、どのような具体的なアクションを取るかは現時点では不透明である。一般的には、こうした批判をかわすためには、通信料の値下げを行う、大幅な株主還元を実施する、設備投資や研究開発を大幅に前倒して実行する、などが考えられよう。その中で最も実現可能性が高いのは料金値下げだが、仮に、東京オリンピックに向けて5Gへの研究開発や設備投資を前倒しで実行することが検討された場合、大きなメリットを受けるのは、同社のような計測機メーカーやNECや富士通などの通信インフラ機器のサプライヤーとなると考えられる。

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