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ソニー(6758)の復活相場は終わっていないと考える。「大型株1年」で注目開始(2018年03月29日推奨終了)

投資スタンス

目標株価を4,000円とし「大型株1年」での注目を開始する。

投資家に伝えたい3つのポイント

  • 目標株価を4,000円とし「大型株1年」での注目開始。
  • 2018年3月期の経営目標(営業利益5,000億円以上、ROE10%以上)は達成可能性が高いことに注目。
  • リカーリング型ビジネスへの注力や、組織活性化に向けた新規事業育成等から、中期的にも安定成長が期待できる可能性が高まってきたことにも注目。

「大型株1年」での注目を開始

2014年後半以降、ソニーの株価パフォーマンスは対TOPIXで大きくアウトパフォームした状態が続いている。

この背景として、大きく2つの要因が考えられる。

  • 2016年3月期にエレクトロニクス事業(以下、エレキ)が5年ぶりに黒字化し、2012年に社長に就任した平井一夫社長による「エレキ復活」の取り組みがようやく成果を表してきたこと
  • 2015年2月に発表された「第二次中期計画」(2016年3月期~2018年3月期)で示された収益性を重視した経営や、アカウンタビリティ(説明責任)を持った事業運営に転換する姿勢が投資家に評価されてきたこと

株価は既に対TOPIXでアウトパフォームしているが、「第二次中期計画」の最終年度である2018年3月期には、震災影響の一巡や、ゲームの好調持続、イメージセンサを中心とする半導体事業の回復などにより、1998年3月期以来20年ぶりに5,000億円台の営業利益が達成される可能性が高い。

また、その後も、ネットワーク事業に代表される継続的に安定収益を産み出す「リカーリング型ビジネス」の拡大などにより、安定成長が期待できる。このような点に注目し、今回「大型株1年」での注目を開始することにした。

出所:SPEEDAをもとに筆者作成


目標株価は4,000円

目標株価は2017年3月期筆者予想BPS 1,996円に2倍を乗じた4,000円とした。過去3年間のPBRの上限は2倍であるが、「第二次中期計画」で示された基本方針への高評価が継続していることや、中期計画目標が依然として射程圏にあるため、レンジの上限を目標株価に充当することが妥当であると判断した。

“ソニー復活相場”のきっかけとなった第二次中期計画を振り返る

2016年6月に創業70周年を迎えた現在のソニーは、ゲーム、液晶テレビ、デジカメ、半導体などのエレクトロニクス事業(以下、エレキ)から、映画、音楽のエンターテイメント、そして金融を展開するコングロマリット型企業である。

しかし、既に周知の通り、2009年3月期から2015年3月期までの7年間にエレキが黒字を計上したのは2011年3月期の1度だけになるなど、祖業であるエレキは苦戦が続いていた。

もちろん、こうした状態をソニーのマネージメントは看過し続けていたわけではないが、決定的な解決策を導き出すまでには長い時間を要した。このため、アベノミクス相場が始まった2012年終盤以降も、株価は冴えない状態が2014年まで続いた。

こうした状態に変化が訪れたのが、平井一夫社長が社長に就任後3年目の2014年後半からである。スマホ、タブレットの台頭で大幅に収益が悪化していたパソコン事業からの撤退や、本社や販社の大幅な費用削減が実行されたためである。こうした構造改革効果により、2005年3月期から2014年3月期まで10年連続で赤字を計上したテレビ事業も2015年3月期以降は2年連続で黒字を計上するまで回復している。

さらに、ソニーの変化を印象付けたのが、2014年11月に行われたIR Dayでのモバイルを除く各事業の2018年3月期の業績目標の開示と2015年2月に発表された「第2次中期計画」(2016年3月期~2018年3月期)である。中計で示された基本方針は、以下の3点であった。

  • 一律に規模は追わない収益重視の経営
  • 各事業ユニットの自立・株主視点の重視(アカウンタリティの強化)
  • 各事業の位置付けの明確化

とりわけ注目できる変化は、「各事業の位置付け」が明確にされ、それぞれの事業特性に合わせて目標が設定されるようになったことである。

2015年2月時点では、エレキの中では、デバイスとゲームが「成長牽引領域」、イメージングプロダクツ(デジカメなど)とビデオ&サウンドが「安定収益領域」、モバイルとテレビが「事業変動リスクコントロール領域」と定義された(注:テレビについては、上述の通り2年連続で黒字を達成したため、現在では「安定収益領域」として位置づけられている。

一方、デバイスについては、2016年3月期にカメラモジュール事業を減損、2016年7月には電池事業を村田製作所に売却することを発表しているが、イメージセンサ事業については、成長事業という位置づけは変えていない)。

また、アカウンタビリティの強化を打ち出したことも、見逃せない変化であった。

これらの施策が打ち出されたため、株式市場は、ソニーが変化の激しいエレクトロニクス事業を継続しても、スピード感のある経営が実行され、かつて10年間に渡り赤字が継続してしまったテレビ事業のような失敗の繰り返しは避けられるという期待感を持てるようになった。

2018年3月期の中計目標の射程圏に

このようにソニーに対する信頼度は高まったとはいえ、足元の株価は2015年の高値から約▲20%下落している。そのため、株式市場では、中期計画で示された2018年3月期の数値目標の達成可能性には、まだ疑心暗鬼であると見られる。

しかし、筆者は、1)2016年7月29日に発表された2017年3月Q1決算は大幅減益だったものの、実態は好転していたこと、2)ソニーの場合、円高影響はユーロに対しては減益要因であるが、ドルに対しては増益要因となっており、為替変動の影響が比較的軽微に抑えられる可能性が高いこと等から、2016年6月時点の会社計画に違和感持っておらず、2018年3月期の会社計画は達成可能と考えている。

以下に各事業の見方を示す(括弧内の数値は営業利益で、2017年3月期筆者予想→2018年3月期筆者予想)。

モバイル・コミュニケーション(50億円→200億円):2017年3月期Q1(4-6月期)は製品の絞り込みにより大幅減収となったが、製品ミックスの改善、オペレーションコストの削減、構造改革費用の減少等により黒字転換を果たしている。今後は、地域戦略や商品戦略の強化がカギとなると見られるが、構造改革が進展していると見られるため、採算性の改善が続くと予想した。なお、同事業は米ドル建てコストの比率が高いため円高・ドル安は採算性にポジティブな影響をもたらす可能性が高い。

ゲーム(1,350億円→1,450億円):「PS4」 の世界累計実売台数は2016年5月に4,000万台を突破しており、歴代のPSの中で最速のペースで普及拡大が進んでいる。また、9月には廉価かつスリムな新製品を発売し、11月には4K画質対応のハイエンド版を投入予定。また、PS4のゲーム体験をよりリアルにするバーチャルリアリティ・ヘッドセット「プレイステーションVR」を10月13日に発売を予定している。こうしたハードウエアの戦略によりソフト販売やネットワーク事業も恩恵を受けると見られ、2018年3月期も増益を維持できる可能性が高いと見られる。なお、リスク要因はマーケティング費用の積み増しや更なる円高の進展である。

イメージング・プロダクツ&ソリューション(220億円→550億円):2017年3月期は熊本地震による機会損失発生の影響を受け減益見込みだが、2018年3月期は震災影響がなくなること(約+260億円の増益要因)や高付加価値製品へのシフトに向けた継続的な取り組みの効果により大幅な増益を予想した。リスク要因はコンパクトカメラ市場の大幅な縮小や更なる円高の進展である。

ホームエンターテイメント&サウンド(410億円→450億円):2017年3月期Q1の営業利益はテレビの好調で増益を確保しており、かつてのテレビの不振は完全に昔日のことになっていることを印象付けている。規模を追わず収益性重視の戦略の実効性が確認できているため、2018年3月期も増益の確保は可能と予想。

半導体(▲640億円の赤字→500億円):2017年3月期Q1営業損益は、震災影響、円高影響、カメラモジュールの長期性資産の減損等により赤字転落している。また、通期でも同様な要因が続き赤字が予想される。2018年3月期については、震災影響(▲480億円)や減損影響(▲300億円)がなくなることに加え、2016年3月期に逸失したモバイル向けイメージセンサの顧客再獲得による増販効果や、監視、自動車、FA等の新領域への拡販効果により大幅な増益を予想した。なお、リスク要因は更なる円高の進行や、スマホハイエンド市場の減速による売上減少である。

コンポーネント(▲120億円→ゼロ):2017年3月期は、記録メディアにおける長期性資産の減損や電池事業の不振から赤字の見通し。なお、電池事業については、2017年7月末を目処に村田製作所(6981)に売却予定であり、来期以降の同事業は記録メディアだけとなる見込み。

映画(380億円→570億円):2018年3月期は1ドル100円を前提に会社計画のレンジの下限で予想した。

音楽(630億円→560億円):映画と同様に2018年3月期は1ドル100円を前提に会社計画のレンジの下限で予想した。

金融(1,500億円→1,500億円):主力のソニー生命の収益は、日本の株式市場が下落した場合には特別勘定の運用益が悪化し業績に悪影響を与える可能性がある。ただし現時点では横ばいを前提に予想している。

上記のセグメント営業利益から本社費用等を差し引いた合計が連結営業利益となるが、現時点で筆者の連結営業利益予想は2017年3月期が3,000億円、2018年3月期が5,000億円としている。

2018年3月期の営業利益は前年度比で+2,000億円の増益予想となるが、上述した各事業の見方をまとめると、最大の増益要因は熊本震災影響800億円の一巡であるが、半導体のシェア回復やスマホ、デジカメ、テレビなどの高付加価値製品へのシフトの効果が増益に寄与していくことが大幅回復のキーポイントとなっている。

ソニーの新たな取り組みにも注目

同社は、第二次中期経営計画を「利益創出と成長への投資」として位置づけているが、その先は、「持続的に高収益を創出する企業」となることを目指している。

こうした観点で注目できる取り組みや動きは、2016年6月に開催された経営説明会では、一度は撤退したロボットに再チャレンジすることが表明されたこと、新規事業開発組織から興味深い新製品が多数生み出されていることに見出すことができる。

ロボットについては、具体的な参入時期や製品の姿について明言はされていないが、「お客様と心のつながりを持ち、育てる喜び、愛情の対象となり得るようなロボットもある」と平井社長が発言しているため、ヒト型ロボットの開発も想定されている可能性が高いと考えられる。

一方、SAP(Seed Acceleration Program)と呼ばれる新規事業創出プログラムからは、アナログ腕時計のバンドにスマホのペアリグや電子マネーなどの機能を集約した「wena wrist」、小さなブロック形状の電子タグでIoTを活用した仕組みを簡単に実現する「MESH」、電子ペーパーを活用し文字盤とベルトの柄を自由に替えられる腕時計「FES Watch」、同じく電子ペーパーを活用し自分好みの多機能リモコンを作れる「HUISリモートコントローラー」、5種類の香りを持ち運び、気分に合わせて5つの香りを持ち運べるスティック型アロマ噴出器「AROMASTIC」など、ソニーの既存事業分野を超えたユニークな製品が生まれている。

また、平井社長直轄の「TS事業準備室」とよばれる組織からは、居住空間における新しい体験の創出を目標としたLife Space UXというコンセプトに基づいて、4K超短焦点プロジェクター、LED電球スピーカー、グラスサウンドスピーカーなどなどファッション性に優れイノベーティブな製品の商品化も進んでいる。

こうした取り組みを、直ちに短期業績に織り込むことはできないが、若手社員の活躍の場を広げることや、感性価値に訴えるというソニーの製品開発における基本戦略を強化することが期待できるため、注目できる経営の変化であると考えられる。

同社固有のリスク要因

1円の円高による年間営業利益の感応度は、ドルに対しては+65億円の増益要因、ユーロに対しては▲50億円の減益要因となっている。このため、ユーロの減益要因をドルの増益要因でカバー可能となるため、為替変動の影響はそれほど甚大ではない。

しかし、対ドルでユーロが大きく下落した場合や、対ユーロで大幅に円高が進行した場合などは、対ドルでの円安メリットではカバーできなくなる可能性に注意が必要である。

また、スマホ向けのウエイトが高い半導体については、スマホの最終市場における販売動向だけではなく、サプライチェーン全体の在庫状況や、スマホメーカー間のシェア変動による影響などにも注意を払いたい。

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