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ソラスト(6197)はM&Aと人材活用で高成長期待の医療・介護サービス企業。「小型株1年」で推奨開始(2018年05月28日推奨終了)

投資スタンス

目標株価3,500円で「小型株1年」で注目を開始する。

投資家に伝えたい3つのポイント

  • 目標株価3,500円で「小型株1年」で注目を開始する。
  • ソラストは2016年6月に東証1部に再上場を果たした医療、福祉関連企業。
  • 祖業の医療事務関連事業は同社独自の人材活用策で採算性が継続、また介護事業では積極的なM&Aを展開しており同社の2本目の柱となることが期待される。

はじめに

同社は、介護、医療、保育といった労働集約型事業を手掛けているが、生産性向上に関する同社独自のノウハウを強みに採算性の改善による利益成長が期待できること、介護市場という日本の成長市場において強固なバランスシートを活用することでM&Aによる事業拡大にも期待が持てることに注目し、今回「小型株1年」での注目を開始することとした。

目標株価は3,500円

今後1年間の目標株価は2019年3月期の筆者予想をベースでPER29倍の3,500円とする。

同社の株価は過去1年間で約2.1倍上昇しており(この間のTOPIXの上昇率は+23%)、今期会社予想ベースでのPERは29倍まで買われている。

ただし、中期的な利益成長が期待できることやROEも28%と高水準が続くと予想されることから、この29倍という高いマルチプルが来期の業績を織り込む局面でも継続すると考え妥当PERとして採用することにした。

2016年6月にMBOを経て再上場

同社は1965年、「日本医療経営協会」として創業。当初は、医療事務管理者養成のための通信教育事業からスタートし、その後、社名を「日本医療事務センター」に変更(1980年)。医療関連業務の人材派遣業や介護、保育へと事業領域を広げてきた。

1992年にジャスダックに、2002年には東京証券取引所第2部に上場したが、2012年にカーライル・グループにより行われたMBO(マネージメントアウト)により非上場化されている。

その後、経営体制の再整備を行った後、2016年6月に東証1部に再上場を果たしている。なお、再上場時点でカーライル・グループは全株式を売却しており、関係は既に解消されている。

医療事務、介護事業で成長を目指す~そのカギは生産性の改善とM&A

2017年3月期の売上構成比は、医療事務関連受託事業が78%、介護事業が19%、保育事業が2%、その他が1%となっている。

同社の中期経営ビジョンによると、2021年3月期に売上高1,000億円(2017年3月期実績700億円)、営業利益70億円(同40億円)を目指すとしている。

また、経営ビジョンにおける目指すべき営業利益率は、医療事務受託関連事業では15%(2017年3月期実績9.7%)、介護事業では10%(同5.8%)、保育事業では15%(同12.4%)とされている。

この経営目標を達成するためのカギは、同社独自の生産性改善策による利益率の改善と、M&Aによる規模拡大の2点である。

まず、第1の生産性の改善については、同社はICTの徹底活用、採用ノウハウの強化、人への投資(トレーニング)に取り組んでいる。

生産性の改善に取り組む理由は、医療事務、介護、保育のいずれもが労働集約的な産業であり、同社の費用構造の大半が人件費(対売上比率では約82%)であるためである。

このため、常に作業プロセスを見直し、ICTを活用し、トレーニングや処遇改善など行いながら、少ない人数でも同じ作業が継続できるような仕組みづくりが日常的に行われている。

ちなみに、医療関連受託事業の場合、2017年3月期の売上高508億円に対して、従業員数(2017年3月期末)は2万407名であった。このため、生産性の改善なしで売上高を年率10%で増加させるためには、年間で約2,000名もの従業員を新たに採用しなればいけないことになるが、人手不足が続く日本において、それだけの人員を確保することは容易ではない。

このため、不断の業務改善を行うことで少ない人数でも仕事がこなせる状態を作りだす、退職者を生み出さないためにAI活用した人材管理を行う、さらに給与アップといった処遇改善を行う、などが重要となっている。

同社はMBOによって非上場になった時期からこうした取り組みを積極化させており、これが現在の同社の隠れた強みとなっている。

第2は、M&Aによる規模拡大である。これは主として介護事業を中心に現在、その取り組みが加速している。M&Aが同社にとって有効な成長戦略と考えられる理由は以下の通りである。

まず、市場の急成長が見込まれているためである。図表1に示したように、日本の介護市場は超高齢化社会の到来により介護市場の規模(=介護費用)は2015年度の9.8兆円から2025年度には21兆円に急拡大すると試算されている。

また、日本の介護市場は中小企業の集まりであり、上位10社の合計シェアでも5%程度に過ぎない極めてフラグメントな業界であることも重要なポイントである。

こうした業界構造であるため、M&Aの対象となりうる企業は多数存在することになる。また、その多くは財務基盤が弱い、ICTの活用が不十分、人材マネージメントが不得意であるため、同社グループの一員となることで、Win-Winの関係で成長することも期待されることになるのである。

さらに、同社の財政状況も2018年3月期Q2末時点で自己資本比率は38%、DEレシオ(リース債務含む)が0.6倍と、比較的健全な状態にあることや、M&A資金は株式の希薄化を防ぐためにデットで賄うことを基本ポリシーであると公言されているため、同社の株主にとっても、M&Aは有効な成長戦略であると捉えることが可能と考えられる。

2018年3月期上期決算は会社計画を超過達成

11月9日に発表された上期実績は、売上高が対前年同期比+9%増、営業利益が同+12%増、親会社株主に帰属する四半期純利益が同+14%増となり、売上高及び各利益項目ともに会社計画を上回っている。

セグメント別の概況は以下の通りである。

医療関連受託事業:売上高は、新規受注増加や派遣売上の増加で+6%増収となった。一方、営業利益は、生産性の向上や増収効果により人材投資(処遇改善など)による費用増を吸収し+17%増益となり、営業利益率は10.1%と前年同期の9.1%から1%ポイント改善している。

介護・保育事業:売上高はM&Aによる事業所数の増加や処遇改善の加算等により+25%増収となった。一方、営業利益は、増収効果や生産性向上効果はあったが、人材投資や一時的なM&A費用がかさんだため+1%増益に留まり、営業利益率は5.3%と前年同期に6.6%から1.3%ポイント悪化している。

今後の業績見通し

2018年3月期については、Q2累計実績が会社計画を上回っていたことや、M&Aの進捗が期初計画を上回っているというコメントが11月10日に開催された決算説明会であったため、筆者予想は会社計画を上回ると予想している。

ちなみに、今期はこれまでにベストケア(発表日2017年9月27日、2017年9月期売上高30億円、株式取得額32億円)と日本ケアリンク(発表日2017年10月24日、2017年3月期売上高42億円、株式取得額20億円)の2件の介護関連事業における大型M&Aを完了している。

これにより、介護事業は、既存の事業や上記の大型案件以外のM&A案件を含め合計で232億円の年間売上高が期待できるレベルまで達してきたと会社側では決算説明会でコメントしている。中期計画では、介護事業はM&Aにより2017年3月期に125億円であった売上高を早期に300億円まで拡大させることを目標としているが、上期までの進捗は、これに沿った動きとなっていると判断される。

このような介護事業を中心としたM&A効果や医療関連受託事業の生産性改善効果により、売上高は2019年3月期が対前年比+16%増、2020年3月期は同+10%増を予想した。

また、営業利益は、M&Aに関連したのれん費用の増加や処遇改善費用を生産性の改善効果でカバーし、2019年3月期が+18%増、2020年3月期は+17%増と予想した。

同社固有のリスクについて

筆者の予想では、人材獲得や生産性の改善がこれまで通りに順調に進むこと、また、M&A後のPMI(買収後の統合作業)は、買収先への経営ノウハウの移植やIT化によりシナジー効果が生まれることを前提に予想しているが、これらが変調をきたし場合には、業績や株価に対してダウンサイドリスクをもたらす可能性があると考えている。このため、今後も、上述のポイントについては四半期決算などを通して精査していきたい。

業績ハイライト

注:2016年1月26日付けで普通株式1株につき300株の割合で株主分割を実施しており上記のEPS、配当金、BPSの実績値はこの影響を考慮している。

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